私たちは、矯正歯科治療を失敗しないように細心の注意を払って治療をおこなっていますが、
矯正歯科治療そのものに限界があることもご理解ください。
矯正歯科治療の限界
歯を動かす際に絶対に痛みが出なくすることや、治療後の歯が絶対に動かないようにすることなど、適切な診断により最善の矯正歯科治療をおこなった場合でも、希望通りにできないことがあります。
痛みを乗り越えるためのサポートや、舌くせなど歯が動いてしまう(僅かな凸凹やすき間ができてしまう)原因などについての説明はおこなって参りますので、矯正歯科治療にも限界があることをご理解いただければと思います。
治療後の歯並びに関する限界
僅かな叢生(歯並びの凸凹)
矯正歯科治療後にも歯は自然な噛む力や舌の力により移動します。この結果、適切な診断をおこなった矯正歯科治療後にもわずかに歯が動くことがあります。
特に下顎前歯部には、矯正歯科治療完了後に僅かな歯並びの凸凹が現れる場合があります。
僅かな隙間
僅かな叢生と同様に、歯が動いてすき間ができることがあります。
特に抜歯した成人の矯正歯科治療、もともとすき間のある歯並びだった方、舌を前に出すくせのある方は僅かなすき間ができることがあります。
歯を動かすことに関する限界
歯の痛み
歯を動かす際には、歯に痛みを感じる方がほとんどです。現在の研究では確実に痛みを消す方法はありません。また、矯正治療の方法によっても痛みの違いはほとんどありませんので矯正歯科治療をおこなうことは痛みを伴うとお考え下さい。
ただし、痛みは鎮痛剤を飲むと軽減したり、痛みがいつくらいから現れていつになったら無くなるのかを知り、痛みに慣れることで辛くなくなります。私たちは痛みについての説明を十分におこないますので痛みは乗り越えられると考えています。
歯の動きに時間が掛かる
歯を動かす際には、歯に力をかけることで歯の周りの細胞に変化が起きることで歯は移動します。したがって、細胞の変化にかかる時間によって歯の移動速度は変化します。特殊な装置を使ったから歯が早く動くという訳ではありません。
歯が早く動く時期は成長により細胞の変化が活発な時期です。歯を早く動かして矯正歯科治療を早く進めたい場合は成長期に矯正治療をおこなうこと、成長期を過ぎた矯正歯科治療では時間が掛かることをご理解ください
歯根吸収
歯を動かす際には、歯に負担がかかります。その際に、歯の根が吸収して短くなる歯根吸収が起きる可能性があります。歯根吸収がしやすい歯の特徴は研究により解明されつつありますが、どの歯が必ず歯根吸収するかはわからず完全な予防方法も解明されていません。
したがって矯正歯科治療をおこなう際は、歯根吸収のリスクがあるものと考え例え歯根吸収があったとしても歯並び良くなることでむし歯や歯周病のリスクが減るなどの矯正歯科治療をおこなうリスクよりメリットの方が大きいと判断した場合に矯正歯科治療をおこないます。
顎の痛み
矯正歯科治療により歯並び良くなると噛みやすくなり顎の関節への負担は軽減します。しかし、矯正歯科治療中はその経過により噛み合わせが不安定になることもあり、その際に顎関節に負担が大きくなり顎の痛みが現れる場合があります。
これは一時的なもので、歯並び良くなることで顎の痛みも改善されます。
歯がしみる
歯を動かす際には、歯と歯肉の境目のバランスが変化します。この結果、成人の矯正歯科治療では温度に敏感な歯根がわずかに露出する場合があり知覚過敏が発生し歯がしみる症状が現れる場合があります。
この様な症状も歯並び良くなることとフッ素を塗布することで徐々に改善していきます。また、症状が強く現れる場合は特殊なお薬を塗布することで一時的に緩和することが可能です。