| この先生の矯正に関する基本的な姿勢(治療哲学)は非抜歯矯正にあります。できる限り歯を抜かない、というのは耳に聞こえの良い言葉ですが、無理な非抜歯矯正は弊害をもたらすことは、このコーナーに寄せられた過去ログからも見ることができます。ちなみに、親知らずを抜くのは<抜歯矯正ではない>というのが非抜歯論者の言い分で、代わりに第二大臼歯を抜くことも<親知らずの代わりなのだから>という理屈ですから、お子様の矯正は基本的に非抜歯矯正ということになります。 <この治療計画に対する先生のご意見を> お子様のケースが非抜歯矯正の適応なのか、それとも本来は要抜歯ケースなのかは矯正資料の詳細を見なければ分かりませんが、私見(あるいは所属する学派)は、<無理な非抜歯矯正はしない>考え方ですので、仮に抜歯が必要なケースと診断した場合、大臼歯を抜くという選択はありません。そのうえで、親知らずは時期(18歳以上でしょうか)が来たら、抜くかどうかの判断をすることになります。 言うまでもなくお子様の矯正的詳細が不明ですので、<軽い受け口で開咬>というのが実際はどの程度なのか分かりませんが、この点の評価(資料分析の結果とその先生の治療哲学)によって治療方針から治療開始時期、装置などが大きく変ります。また、中学生といっても、この時期は一年生なのか三年生なのか、女子なのか男子なのかで資料の評価が変ります。それは成長発育との関係があるからですが、<軽い受け口と開咬>という状態は、長期的な視野で考えると不確定要素が多く楽観できないケースと見ます。 開咬が舌と強い因果関係にあるのは一般的に確かですが、舌に関して<舌房が狭いと舌癖が出るとは限らない>と考えています。舌癖が起きるのは別の要因によると思うからですが、それ以上に舌の長短、大小は分かりにくいもので、それゆえ<舌房を広くすればいい>とも思っていません。
<先生のご意見を>という言葉にそって、投稿から読み取れる範囲の中で<私見>を述べました。当院との方針とは明らかに異なることもあって、この回答にお母様は当惑、困惑されているかと思います。改めて別の矯正専門医に診てもらい、同じ方針であればそれで良し、異なる見解を示されたら納得のいく説明を聞いた上で、どちらかに決める、というのもあっていいかと思います。
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