| お子様の矯正的資料がないため詳しい状況は分かりませんが、写真をみる限り(ちなみにこのコーナーには添付はできません、またメールへの添付も基本的にはお受けしていません)、お子様のケースは典型的な叢生という不正咬合と見受けられ、矯正歯科専門医が診ればまったく違った治療方針が示されると推測されるケースです。投稿を読んでいると、苛立つくらいに患者側、歯科医側双方の考えに危うさを感じます。箇条書きされたご質問にお答えする前に、お子様はキチンとした矯正歯科専門医院に掛かられることを、強くお勧めします。そして、ここに提示されたご質問は、実際にお子様の口の中を診るその矯正歯科医が分かりやすく説明するはずです。 1)矯正せずに「左下5番」だけを抜くのは間違い(大問題)なのでしょうか? その通り間違いであり、行く行く問題になっていきます。書くべきことは多々あるのですが、もっとも気になる点についてひとつだけ。 咬合の鍵と言われる第一大臼歯(6番)の咬み合わせが、右側はほぼ正常なのに対し左側は下顎の6番が近心傾斜(前方移動)して、咬み合わせが大きくズレています。これは、5番の先駆乳歯である第二乳臼歯(E)がひどい虫歯であったか、そのために早期に抜歯されてそのまま放置されていたため、つっかい棒のなくなった6番が移動した可能性を暗示しています。 レントゲン写真から、上下左右に大きな親知らず(8番)の存在が確認されますが、左下6番を元の位置に戻す(遠心移動する)のは至難というより無理で、8番を抜くか(今の年齢での親知らず抜歯はチョット大変な手術)、7番を抜かなければむずかしいと思います。ここを担当の歯科医がどう考えているのか、専門医の目からすると不遜ながら<矯正が分かっているのだろうか>と思ってしまいます。 2)急速拡大装置で何かトラブルが起きることはないのでしょうか? 急速拡大装置(RE)はまともな装置ですが、お子様がその適応症とはどう見ても思えません。REは子供の矯正患者が多かった時代には、一期治療(10歳ぐらいまで)の補助として使うこともありましたが、この10年は一例も使っていません。何より15歳10ヶ月の人の上顎の骨(口蓋骨の正中縫合部)にREが効くとは思えませんが、もとより写真でみる限りでは、拡大するケースではなく抜歯矯正(歯列を小さくする矯正)の適応ではないかとみています。 3)もし矯正する場合、先生はどういう方法が一番よいと思われますか? 方法よりも何よりもまず、まともな矯正歯科専門医の所に掛かることが第一です。その矯正医が一番望ましい方法を示してくれます。そのうえでご質問なのであえてお答えすれば、必要な資料(たとえば頭部X線規格写真や口元の写真、口腔模型など)がないので確かなことは言えませんが、左下6番の近心移動は後天的に作られたチョット厄介な不正ではあるものの、それ以外はオーソドックスな治療法で好ましい咬合が獲得できるケースとみています。
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