| らんなな様 ご質問頂きありがとうございます.晝間康明@OPひるま歯科です. ご質問にお答えします.
■歯のトルクと裏側矯正について 裏側矯正では前歯の裏側にブラケットがつきます.そのため前歯を後退させる際にワイヤーを後方に引っ張るとブラケットのワイヤーを通す溝(スロット)からワイヤーが抜け出す方向に力がかかってしまいます.また,歯軸のコントロールを行う際には,四角いワイヤー(角ワイヤ,レクトワイヤ)をスロットに密着させながら行い,角ワイヤが太い方がトルクは効き易くなるのですが,裏側矯正では歯の裏側にブラケットを装着するためブラケットとブラケットの距離が短くなり,あまり太い角ワイヤが使えません.このために裏側矯正ではトルクコントロールを行う事が非常に難しくなります.したがってお嬢様の場合は,裏側矯正の限界を超えている可能性がありますので表側の矯正に切り替えた方が良いかもしれません.
■矯正の期間について 一般的に表側の矯正に比べて裏側の矯正は,同じ治療結果を出そうとすると裏側矯正の方が時間がかかります.一般的に成人の矯正治療は成長期のお子様の治療に比べて時間もかかるので2年で治療を終える事は困難かもしれません.
■斜め掛けのゴムについて ご指摘の様に,現在のゴムの掛け方ですと上顎前歯は舌側に傾斜する可能性があるので,通常であれば太い角ワイヤにより舌側傾斜を防ぐ事が可能です.しかし裏側矯正なのでどのくらい太いワイヤが装着されているかはわかりません
■装置を外して後戻りするか 装置を外してそのままにすると一般的には後戻りにより,上顎の前歯は唇側に傾斜してくると思われます.しかし,抜歯をしていますので前歯にすき間が出来る事,上顎前歯と下顎前歯の水平的なズレ(出っ歯)が残ると思います.
全体的な印象としては,裏側矯正を短い時間で終わらせようとして前歯が舌側傾斜してしまった症例と考えられます.傾斜の改善は裏側矯正では難しいと思われますので表側の矯正にするか傾斜は諦める事が必要かもしれません.また,たとえ表側矯正にしたとしても傾斜の改善は歯根を顎骨の中で動かす治療となるため時間がかかると思われます.したがって矯正治療を行う際には歯が舌側傾斜しすぎない様にゆっくりと治療を進める事が大切です. 以上,回答とさせていただきますが実際に口腔内を拝見したり資料を見せていただいた訳ではないので私の回答はあくまでも推測の域をでない事をご理解下さい.
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