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■1486 / 親投稿)  上下顎前突出
  
□投稿者/ 空 -(2005/07/28(Thu) 12:10:58)
    ひるま先生こんにちは。矯正したいのだけれど、いろいろ悩んでいるので、教えてください。

    海外での治療になりますが、まず、下7番の両方が、ほとんど機能していないのではないかというくらい、かなり内側に傾げています。(上は少し。)これは、やっぱり起こすべきでしょうか?また、起こせるものでしょうか?

    そして、前上下には、軽度の叢生&10°の突出(欧米人の基準からみてだそうです。)があります。私は、できたら、全てをきれいに矯正して、特に口元突出のコンプレックスをなくしたいのですが、その場合、やはり抜歯は必要でしょうか?(こちらの先生には、必要が生じれば、上下左右5番を、といわれました。)私は、総合的にみてその方が良い結果を得られるなら、抜いてもいいと思っていますが、私の外国人の主人は、(矯正&外科手術経験あり、非抜歯)健康な歯を抜くことのリスクと、歯を4本失った場合の、噛み合わせ(特に奥歯への負担)の問題を疑い、納得できないと、大反対です。また、非抜歯で歯を並べた場合、口元突出が治る場合もあるでしょうか。

    外国人は、口内が大きく、日本人に比べて、抜歯の必要性が少ない印象を受けたのですが、海外では、抜歯をしての治療は少数なのでしょうか?いろいろなホームページを見ても、抜歯に関する記事やQ&Aはとても少ないんです。

    お忙しいと思いますが、ぜひ、回答をよろしくお願いします。
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■1487 / ResNo.1)  Re[1]: 上下顎前突出
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2005/07/29(Fri) 06:51:03)
http://www.hiruma.or.jp 
     まず、下顎左右7番の舌側傾斜(内側への傾斜)は治されることをお勧めします。すでに矯正医が診察しているようですので詳細は省きますが、原因には親知らずが関与している可能性があること、主訴(当面の問題)が下顎左右7番であっても、咬み合せの構築(改善、矯正)のためには、上顎にも矯正装置が必要になるのが普通であることを承知しておかれることです。
     口元の突出がどの程度か分かりませんが、それがコンプレックスであれば、せっかく矯正するのですからその改善も行うべきです。それには抜歯が必要であり、そうでなければ目的の達成はむずかしいように思います。
     お住まいの外国がどこで、ご主人が何人(人種)か分かりませんが、コーカソイド(欧米人種)とモンゴロイド(蒙古人種、日本人)とは、頭蓋顔面の骨格型(骨組み)や歯牙の形態が著しく異なり、その関係で日本人は受け口(下顎前突)や上下顎前突になりやすい、という事実はあります。その改善には<顎の大きさ、形に適した歯の数にする、つまり抜歯治療>が避けられません。そのため、日本人の矯正治療には必然的に抜歯症例の割合がかなりの高率になるのは、やむを得ないところです。
     抜歯症例のパーセンテージについては、(無断で引用しますが)新潟大学矯正歯科のHPで触れていますので、お読みになってください。(下記URLの矯正歯科治療Q&Aの中のQ16「どうして矯正治療では抜歯をするの?」)
    http://www.dent.niigata-u.ac.jp/ortho/hp/treat2.html
     また、矯正治療上の抜歯の必要性については、当HPにも詳しく述べておりますので、参照してください。
    http://www.hiruma.or.jp/html/basshi.htm
     またさらに、抜歯・非抜歯については、これまでも質問コーナーで数多く回答してきましたので、記事検索から<抜歯 非抜歯>をキーワードにして検索され、お読みになってください。長いやり取りになりますが、そのうちの一つを下に引用しておきますので、参考にしてください。
    http://www.hiruma.or.jp/cgi-bin/treebbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=119

     ご主人の<噛み合わせ(特に奥歯への負担)の問題を疑い、納得できないと大反対です>という考えを説得するのは至難ですが、少なくとも近代矯正歯科治療の歴史50年(アメリカではさらに古くから)必要に応じて抜歯矯正を行ってきましたが、もしご主人のいわれるようなことが本当に起こるとしたら、すでに全世界で大問題になっているはずです。それよりも、抜歯症例(抜歯しなければ治せないケース)を無理して非抜歯で治したことの弊害が、増齢とともに、患者自身はもとより歯周病科医などから指摘されて、今後問題化する可能性はかなり高いと見ています。
引用返信 削除キー/
■1489 / ResNo.2)  Re[2]: 上下顎前突出
□投稿者/ 空 -(2005/07/29(Fri) 12:52:33)
     ひるま先生、早速のお返事ありがとうございます。
     
     人種、骨格の違い等をよく考慮すれば、抜歯の必要性は、納得できるものですね。このことを主人に良く話してみたら、少し納得した様子でした。私としては、もう抜くことで、決意しました。心配であった、抜歯による口腔内の健康に与える悪影響はない、というプロの意見で、不安を取り除くことができました。
     抜くポジションとしては、こちらの先生の言う、5番4本、というのに意味はありますか?多くの場合4番と聞きますが、これは、7番を起こすことと関係があるのでしょうか?というのも、右上4番のサイドから、銀が見えるので、どうせなら、4番は?という疑問が沸いたからです。(こちらの先生がおっしゃった時はそこまで、気が付きませんでした。)

     ちなみに、ここはアメリカですが、最初に相談した矯正医は、7番傾斜には手をつけない、前突についても、抜歯には触れていませんでした。
     やはり、日本人には日本人のお医者様が合っているのでしょうね。できることなら日本で治療したいけれど、そうもいかないので、2番目の今の先生に相談してみたわけです。主人は、彼の欧州にいる主治医にセカンド(サード?)オピニョンを求めてくれました。7番を起こすことには賛成しましたが、やはり、抜歯に関しては触れていませんでした。欧米人には、抜歯をしてまで前突を治す必要はない、という美意識があるのだろうか?という印象を受けました。削ったり小手先的なことはするのに。。
     
     親知らずは、とうに4本とも抜いたのですが、かつて、納まる場所のない親知らずに押されて、7番は傾いたのではないかと思います。なぜ起こすべきか、ということは聞いていないので、ひるま先生のお考えを教えていただけますか?
     矯正するかどうかをしばらく考えたいということで、しばらく時を置いていましたが、抜歯有矯正に向かって進んでいくつもりです。

     わかりにくい文章で申し訳ありません。お願いいたします。

引用返信 削除キー/
■1490 / ResNo.3)  Re[3]: 日本人の上下顎前突
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2005/07/30(Sat) 10:08:36)
http://www.hiruma.or.jp
     順にお答えしていきます。
    ・5番4本、というのに意味はありますか?
     矯正治療上の抜歯は、4番(上下左右第一小臼歯)というのが一般的で、学術的にも理にかなった部位ですので、5番抜歯には必ずそれなりの理由があります。空さんの矯正的詳細が分かりませんので、ここでその理由を詮索することはできません。ことに、日本人の上下顎前突の場合は5番より4番抜歯が相応しいので、4番でなく5番を抜歯する理由は、納得できる説明を求めることを勧めます。ちなみに、5番抜歯で治療しているケースはそれなりにあって、それが間違いという意味ではありません。
    ・最初に相談した矯正医は、7番傾斜には手をつけない、
     矯正治療のゴールは、個性正常咬合の獲得ですから、咬合上あるいは歯列(放物線状の歯のならび)上におかしな所があれば治すのが矯正です。傾斜した7番に手を付けないはずは通常ないのですが、手を付けられないか、手を付けてはいけない何らかの特殊な理由があるのかもしれません。今度の矯正医はそこを治すようですが、前の矯正医が手を付けないといったその理由を、専門医の見解として聞いておいた方がいいように思います。
    ・欧米人には、抜歯をしてまで前突を治す必要はない、という美意識があるのだろうか?
     日本の矯正技術は、主としてアメリカから入ってきており、最初の教科書的スタンダードはアメリカのそれに従ってきましたが、時を経て日本人向きに修正が加えられて、現在の(まだ十分ではありませんが)テクニックがあります。一方、鼻が高くオトガイの発達したコーカソイドを対象とした欧米の矯正は、口元の引っ込み過ぎを恐れるため、できることなら非抜歯で、抜歯が必要な場合は、4番を抜いた方が簡単な場合でも5番を抜かざるを得ない、ということがあります。
     これは美容整形を例にすると分かりやすいかと思いますが、日本で鼻の美容整形といえば隆鼻術と決まっていますが、欧米では鼻を低くする手術のことをいうのは、空さんの方がよくご存じかと思います。ですから、非抜歯が<欧米人の美意識>というより、感覚的に引っ込め過ぎを恐れるためか、経験的にモンゴロイドの上下顎前突をみていないか、その程度の理由ではないかと推測します。
     その点を考えれば、日本人や日系人が多く行く矯正歯科医院(日系の矯正医も結構います)ならば、空さんの納得のいく説明や治療がなされるかと思います。
引用返信 削除キー/
■1494 / ResNo.4)  Re[4]: ありがとうございました
□投稿者/ 空 -(2005/08/02(Tue) 10:50:59)
     毎度、丁寧なご回答をありがとうございます。

     また、矯正医と相談するべく、予約をしました。予約日がかなり先になってしまったのですが、また何か別の進展がありましたら、ひるま先生に相談させていただきます。そのときは、どうぞお願いいたします。

     ひるま先生からのお返事は、本当にためになりました。
    どうもありがとうございました!

解決済み!
引用返信 削除キー/
■1564 / ResNo.5)  Re[5]: 歯根
□投稿者/ 空 -(2005/09/02(Fri) 10:01:34)
     ひるま先生こんにちは。矯正に関しての、新たな展開がありましたので、相談させてください。

     前歯1番両方とも根が短すぎるので(私の場合、本来あるべき長さの80%ぐらいでした。)、歯を動かすと根がもっと短くなり、将来的に悪影響を与える可能性がある、という診断を受けました。矯正医としては、前歯を動かすことは、あまり勧められないような印象を受けました。これにはかなりがっかりいたしました。ということは、私の希望のひとつでもある、抜歯をして、口元を引っ込めることは、不可能ということでしょうか。ちなみに、前回は、このことは話題に出ませんでした。先生は見落としていたのでしょうか?なんだか、先生が真剣に診断してくれてないのではという、ネガティヴな考えがよぎってしまいました。
     このような話は聞いたことがありません。この根が縮む可能性等、ひるま先生はどう思われますか?

     それと、内に傾いている、下奥7番は、私のニッケルアレルギーのため、もし、パッチテストのようなものをして反応が出た場合は矯正器が装着できないため、代替策として第一に、杭のようなものを奥の下顎骨に埋めて、それを基台として、ワイヤーで引っ張り起こす、というもの、(これは新しい技術だそうで)と、第二に、チタンのワイヤーとプラスチックでできた取り外し可能な器具(リテーナー)とスプリングでもって、奥歯を起こすというやり方を聞きました。どちらも、素人の私には、効果的なのか疑問なのですが、ただ、抜歯なしで、この治療を行うらしいのですが、そうすると、また歯が前倒ししてこないかが、不安です。治療後、動かないように、固定するらしいのですが。。

     ニッケルアレルギーの患者がいた場合、ひるま先生のところではどうされていますか?ブレースでの矯正はあきらめるべきでしょうか?
     歯根が短くて、矯正をしないほうがいいという場合もありえるのでしょうか?
     
     第一段階で、奥歯を起こして、それから、前歯の根の状態をまた見て、第二段階として、口元の引っ込めをするかしないか、また考えましょう、といわれました。(この第二段階は、できない/しないほうがいいかもしれない可能性のほうが強そうですが。。ニッケルのこともありますし。)
     すばやく、プロセスが進まず、とても苛立っています。
     わかり難い文章ですが、お許しください。
     お願い致します。
引用返信 削除キー/
■1566 / ResNo.6)  Re[6]: 歯根
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2005/09/03(Sat) 10:39:55)
http://www.hiruma.or.jp
     問題点は3点、いずれも資料がないので一般論としてお答えします。
    1)短小根と歯根吸収
     日本人の歯根は、欧米人のそれと比べて一般的に短い傾向がありますが、<本来あるべき長さの80%ぐらい>という空さんの前歯の歯根が、矯正不可かどうかは何とも言えません。ただ、前歯だけが短小根だとすると、その原因は前歯の歯ならび、咬み合わせにある可能性もあります。この現象は、日本人の上顎前突者の前歯において、比較的よく見られる症状で、矯正するのも、そのままにしておくのも短小根のリスクが残ることになります。
     矯正治療(歯牙移動)は、歯にとって侵襲行為ですから、多かれ少なかれ歯根吸収の恐れは常にあります。その原因は完全に解明されておらず、遺伝的要素や内分泌の影響も取りざたされて、歯牙移動だけが悪者というわけではありません(現に矯正をしていない人にも歯根吸収は起きます)。
     経験的に、空さん程度の短根歯で矯正を中止することはまずありませんが、訴訟社会であるアメリカでは、危機管理上、手を出さないということかもしれません。

    2)金属アレルギー
     金属アレルギーは、特定の歯科金属が唾液に触れてイオン化すると起こる免疫反応です。パッチテスト(皮膚貼付試験)は、疑わしい金属の塩化物を皮膚に貼付して、その生体反応を皮膚の変化で見る試験ですが、金属アレルギーが疑わしければ、まず皮膚科でテストしてもらう必要があります。
     矯正装置に使われている金属のうち、ニッケルがアレルギーの主な原因(アレルゲン)といわれていますが、金属アレルギ−が確かであれば、前歯には金属でないセラミックやレジン(プラスティック)製のものを、奥歯には生体親和性の高いチタン製の装置を使うなどの対策がとられます。問題はほとんどそれで解決され、金属アレルギーで矯正を中止したケースは今まで経験していません。

    3)杭のようなものを奥の下顎骨に埋めて
     これはインプラント矯正と呼ばれる方法かと思います。日本でも年々盛んになっており、むしろ濫用からその弊害が表面化してくることを危惧しています。インプラント矯正につきましては、過去ログから下の2つを引用しておきます。参考になさってください。
    http://www.hiruma.or.jp/cgi-bin/treebbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=486&type=0&space=0
    http://www.hiruma.or.jp/cgi-bin/treebbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=1355&type=0&space=0
引用返信 削除キー/
■1586 / ResNo.7)  Re[7]: 歯根
□投稿者/ 空 -(2005/09/09(Fri) 00:59:14)
     先生の毎度丁寧な回答に本当に感謝しています。

     今かかっている矯正医が、私の治療に対して積極的でなく、インプラント矯正等も、私のほうが倦厭してしまうので、また別の先生に見てもらうつもりです。
     アメリカは矯正の先進国のようですが、私は、白人の特に青年層に対して、積極的な治療がなされる、という印象を受けます。私のような成人・アジア人・海外居住者は、皆さん、どうやって治療されているのか興味がわきました。

     アドバイスをありがとうございました。
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