| (SNA,SNBの説明や意味は省略して)SNAとSNBの差(SNAーSNB)はANBで表され、SNAがSNBより大きい場合はその値に+(あるいはなにも付けない)、逆の場合は−をつけます。 あやさんの言われる<SNBがSNAよりも4度以上小さい>というのは<ANBが4以上>と表現し、その場合は<骨格的にはII級としよう>というものです。ただ、この分析法はノースウエスタン法の場合であって、他の分析法を用いる矯正医にはあまり意味を持ちません。 また、<ANBの値がいくつであれば正常か>というのは、数値ですべてを解釈しようとしたズッと昔の矯正学ではあり得ましたが、現在ではほんの参考程度の数値であって、個人的には、日本人の場合のANBの標準値(正常値ではありません)は1〜4の範囲ぐらいかな、と考えています。 ANBが0以下だと骨格型のIII級と認識しますが、その数値だけで異常や不正ととらえるわけではありません。また、ANBがいくつ以上だと顎変形症で外科手術の対象になるかという質問は、論理的のようですが現実的ではなく、それは、今の歯科矯正臨床ではANBの値をもって治療方針を決定することはないからです。つまり、ANBが+1度の下顎前突症で外科適応ということもあれば、ANBが+4度でも上顎前突症として外科矯正を適応することもあるからです。 ご質問の<ANB6度の場合の治療法>ですが、縷々(るる)説明してきたようにその数値だけで方針を決めることはないので、答えることが出来ないというのが回答です。このSNA,SNB,ANBなどは頭部X線規格写真(通称 セファロ)の分析の一部ですが、昨今のコンピュータの発達により、データ解析がすべてを導き出してくれるように思うのは錯覚です。 矯正資料のデータ解析は、たとえば血液検査のデータが持つ意味とはかなり異なり、矯正の治療方針に至るには、データの分析に加えてそこに矯正医の目指す所(信念)が含まれて来ます。同じ患者さんにもかかわらず、矯正医によって方針がそれぞれに異なる理由はここにあります。
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