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■2285 / 親投稿)  教えてください
  
□投稿者/ あや -(2006/08/17(Thu) 22:03:39)
    50年位前の医学事典に、‘乳歯の歯並びが悪くても放っておいてはいけません永久歯の歯並びに影響します。悪い歯並びや虫歯は乳歯のうちに確実に治しておくことが簡単で確実な治療法といえます。なお、乳歯の反対咬合は家庭でも矯正できます。平たいさじにガーゼを巻きつけ、上歯の裏側、上歯の外側に当て子供が歯をかみ合わせるとき下方に押します。無理をせず少しずつやれば次第に正常になってくることがあります。’という興味深い記述が書かれていたのですが、昔はこのような治療法で歯列不正をな治療することもあったのでしょうか?

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■2288 / ResNo.1)  Re[1]: 50年前の矯正法
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2006/08/18(Fri) 17:26:52)
http://www.hiruma.or.jp
    2006/08/19(Sat) 03:17:14 編集(投稿者)

     歯は乳歯に限らず永久歯でも、押すなり引くなり適当な力を加えれば動きます。たとえば指しゃぶりや頬杖など執拗な癖が矯正力となって、歯が好ましくない状態にズレるのはご存知かと思います。その医学辞典に書かれている方法は、<ごく限られたあるケースの、ある限られた時期において>は当てはまるかと思いますが、不適切なやり方は治らないばかりか、歯そのものをダメにする可能性もある方法です。
     切歯斜面板(inclined plane)という装置はその原理を応用したものですが、ある年齢以上の矯正医でなければその装置の名前も知らなければ、実物を見たことも作ったこともないと思います。要するにそこに書かれているやり方は、切歯斜面板の消滅が証明するように前世紀の遺物ですが、大昔、そのような矯正をやった歯科医がいたことは事実でしょう。
     不正咬合はそんな単純なものではなく、これまでの長い間に学問的、臨床的に検証が積み重ねられ、次第に今の分析法や評価法が確立され、それに適した装置が開発され改良を重ねて現在の矯正治療があるわけです。ただ、歯が動く生物学的メカニズムが変わったわけではないので、今の矯正法はその原理を発展させたといえるのかも知れません。
     50年前といえば1956年(昭和31年)、戦後11年経って時の総理大臣鳩山一郎が日ソ国交回復の共同宣言をした年であり、往時の時事ニュースによれば「東海道本線の全電化完成」とあり、新幹線など影も形もなかった時代の矯正の話です。
     この時、歯にブラケットを付ける現在の装置(テクニック)はまだ日本には導入されておらず、当然ながら矯正歯科専門医院は一軒もありませんでした。今は矯正歯科界も百家争鳴、それが果たして幸福なことなのかどうか。
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■2290 / ResNo.2)  Re[2]: 50年前の矯正法
□投稿者/ あや -(2006/08/20(Sun) 15:16:14)
    丁寧な返信ありがとうございます。
    重ねての不躾な質問で恐縮ですが、“悪い歯並びや虫歯は乳歯のうちに確実に治しておくことが簡単で確実な予防法、治療法といえます。”という事は、現在の矯正学に通じるものでしょうか?


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■2292 / ResNo.3)  Re[3]: 50年前の矯正法
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2006/08/21(Mon) 15:59:31)
http://www.hiruma.or.jp
     虫歯は虫歯菌による感染症ですから、口の中の虫歯リスクを早くから少なくしておくことは将来のためにも大切なことですが、歯ならびは顔立ち同様ほとんどが遺伝的なものですので、予防という面ではかなり限界があります。
     遺伝的に悪い歯ならび、悪い咬み合わせになる因子を持っている子を、そうならなくするのは非常にむずかしい(というより大抵は無理)といえますが、悪くなる要素を持っていない子でも、虫歯で早くに歯を失ったり指しゃぶりなどの悪い癖が続くと、歯ならびや咬み合わせは狂ってきます。
     あやさんのお尋ねは、不正咬合の早期発見、早期治療(矯正)は有効かということかと思いますが、この問題については色々な意見があるのが実情で、これまでこのコーナーでも数多くの質問にお答えしていますので、メニューバーの「検索」から、<早期治療>などをキーワードに調べてみてください。すでにnot foundになったログもありますが、幾つかはヒットしてくるはずです。
     回答は「所詮これも矯正界の一意見」という批判の目を持ってお読みください。
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■2300 / ResNo.4)  Re[4]: 50年前の矯正法
□投稿者/ あや -(2006/08/23(Wed) 23:08:33)
    何度も丁寧な返信ありがとうございます。
    歯科矯正学の教科書に,“SNBがSNAよりも4度以上小さいときには、classKの関係が存在し、逆にその差が2度よりも小さいか逆にSNBのほうがSNAよりも大きいときにはclassLの関係が存在すると考えてよい。”とありますがSNBとSNAの差が
    何度以上の時に外科矯正を勧めたら良いのでしょうか?
    教科書には載っていないのでSNA−SNBが6度の人(SNA・SNBともに正常値から誤差があまりなくセファロからも第1小臼歯抜歯に適用しそうな人)の治療をどうすればいいのかと思い質問させていただきました。
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■2303 / ResNo.5)  Re[5]: ANB
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2006/08/25(Fri) 15:20:49)
http://www.hiruma.or.jp
     (SNA,SNBの説明や意味は省略して)SNAとSNBの差(SNAーSNB)はANBで表され、SNAがSNBより大きい場合はその値に+(あるいはなにも付けない)、逆の場合は−をつけます。
     あやさんの言われる<SNBがSNAよりも4度以上小さい>というのは<ANBが4以上>と表現し、その場合は<骨格的にはII級としよう>というものです。ただ、この分析法はノースウエスタン法の場合であって、他の分析法を用いる矯正医にはあまり意味を持ちません。
     また、<ANBの値がいくつであれば正常か>というのは、数値ですべてを解釈しようとしたズッと昔の矯正学ではあり得ましたが、現在ではほんの参考程度の数値であって、個人的には、日本人の場合のANBの標準値(正常値ではありません)は1〜4の範囲ぐらいかな、と考えています。
     ANBが0以下だと骨格型のIII級と認識しますが、その数値だけで異常や不正ととらえるわけではありません。また、ANBがいくつ以上だと顎変形症で外科手術の対象になるかという質問は、論理的のようですが現実的ではなく、それは、今の歯科矯正臨床ではANBの値をもって治療方針を決定することはないからです。つまり、ANBが+1度の下顎前突症で外科適応ということもあれば、ANBが+4度でも上顎前突症として外科矯正を適応することもあるからです。
     ご質問の<ANB6度の場合の治療法>ですが、縷々(るる)説明してきたようにその数値だけで方針を決めることはないので、答えることが出来ないというのが回答です。このSNA,SNB,ANBなどは頭部X線規格写真(通称 セファロ)の分析の一部ですが、昨今のコンピュータの発達により、データ解析がすべてを導き出してくれるように思うのは錯覚です。
     矯正資料のデータ解析は、たとえば血液検査のデータが持つ意味とはかなり異なり、矯正の治療方針に至るには、データの分析に加えてそこに矯正医の目指す所(信念)が含まれて来ます。同じ患者さんにもかかわらず、矯正医によって方針がそれぞれに異なる理由はここにあります。
引用返信 削除キー/
■2306 / ResNo.6)  Re[6]: ANB
□投稿者/ あや -(2006/08/25(Fri) 17:53:24)
    不躾な質問に丁寧に答えていただきありがとうございます。
    大学で歯科矯正学や歯科放射線学などの臨床系の講義を昨年から1年間受講しただけ(2回前期まで病理学とか薬理学などは学びましたが)なので知識が浅く恐縮ですが、教科書のRiedelの分析法は、実際の臨床では参考程度なのですね。よくわかりました。私の使用している教科書には、Riedelの分析法やBallardの分析法は、頭部x線規格写真を利用してskeletal relationshipを知る方法として臨床的に利用価値の高いものであると書いていたのでANBが理想値より少しでもはなれていたら手術を考えるのかと思っていました。
    重ねての質問で恐縮ですが矯正学の教科書には、叢生以外の成人矯正は禁忌であると書いていますが、実際的にそうなのでしょうか?
    またこの事は、大学の教授が、「overbite縮小は成人の場合難しく、可能であっても長期間かかりその程度も少量にとどまる」とおっしゃっていた事に関係するのでしょうか?
引用返信 削除キー/
■2309 / ResNo.7)  Re[7]: 歯科大学生?
□投稿者/ 晝間@ひるま矯正歯科 -(2006/08/26(Sat) 12:54:59)
http://www.hiruma.or.jp
    2006/08/26(Sat) 15:31:39 編集(投稿者)

     <大学で歯科矯正学や歯科放射線学などの臨床系の講義を昨年から1年間受講>ということは、あやさんは歯科大学生ということでしょうか。全国に29ある歯科大学、歯学部にはそれぞれ特色があり、教授によって矯正学の講義内容も様々です。
     大学で教える学問としての矯正学と、臨床の現場で必要な知識との間にはかなり大きな乖離があり、国家試験を意識した大学の講義や実習では、矯正臨床の醍醐味やむずかしさを理解することはできません。
     あやさんは将来矯正医を目指しているのでしょうか。21世紀の歯科医療の中で、矯正治療の重要性、必要性はますます高まると信じているものですが、あやさんが大学の講義や医局の先生への質問だけでは掴み切れない、矯正臨床の現場の感覚や考え方についてお知りになりたければ、ご質問の成人矯正についての回答を含めて、この場(質問コーナー)ではなくメールで直接お話しいたします。
     よろしければ下記アドレスに<投稿者 あや>と分かるようにしてメールしてください。(あやさんのアドレスは、個人情報保護法の精神を遵守して、このやり取りの目的以外には使用しません。)
     * ご連絡がありましたので当方のアドレスは削除しました。
引用返信 削除キー/



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