| こんにちは.晝間康明@ひるま矯正歯科です. 緊急性のあるご質問ですので早速お答えします.
■犬歯の開窓牽引について 現在の状況が上顎犬歯の埋伏により上顎側切歯の歯根吸収が起きている状態にあるとのことですので,当院では以下のような対応をします. まず将来的にどのような歯ならびになるかを診断します.お嬢様の症例では犬歯を開窓牽引したとしても叢生(乱杭歯)になると思われます,また,顎骨内にスペースが無ければ犬歯の牽引も出来ませんので,小臼歯の抜歯が必要になる可能性が高いと考えます.しかし,すでに側切歯の歯根吸収が進行しているのであれば小臼歯を抜歯して矯正治療を行ったとしても矯正治療後に側切歯が脱落する可能性があるので小臼歯ではなく側切歯を抜歯してその抜歯スペースに犬歯を牽引する可能性が高いと考えます.上顎中切歯の歯根は,早めに犬歯の牽引を行う事で吸収を抑制できるかもしれません.上顎前歯の配列が中切歯のとなりに犬歯となるためやや審美性は低下しますが,矯正歯科医の配列の工夫でそれほど違和感のない仕上がりにする事は可能です.より高い審美性をお求めの場合には将来的に歯の形態修正を行う事でも対応できます.現時点では側切歯の抜歯は免れないかもしれませんが前歯の抜歯は回避できる可能性があると考えます.
■むし歯のリスクについて 当院ではこれまで約3000回のむし歯のリスク検査をしてきました.その中には,極めてむし歯のリスクが高い方もいましたがリスクコントロールを行いながらブラケットを装着した矯正治療を行う事は可能であると考えます.また,質問に記載されている「今まで12年間 1度も虫歯になったことは、ありませんでした。」から,むし歯のリスクはそれほど高くないと考えます.理由は,永久歯のむし歯が乳歯から永久歯に生え変わる6〜12歳の時期にむし歯になり易いため,この時期にむし歯にならなかったのであればむし歯のリスクは高くないと考えられるからです.それでもむし歯になった原因としてはお母様が指摘されているように,前歯の滑り止めがある事によって,歯が磨けなかったり唾液の自浄作用が働かなかった事が原因と思われます.
■矯正歯科医の責任について 犬歯の埋伏は当院でも年に1,2症例は経験しますのでそれほど珍しい症例ではありません.しかし,ほとんどの犬歯埋伏症例で側切歯の歯根吸収はありません.犬歯埋伏症例では側切歯が歯根吸収をしない様に注意深くX線写真で確認し,側切歯の歯根吸収が起こりそうになれば早めに開窓牽引をします.その傾向は8歳で床矯正を始めた段階でX線写真で確認しているはずですがそのような確認はなかったのでしょうか?X線写真で確認していても気がつかなかったのであれば非常に稀な動きをする犬歯だった可能性はあります.また,床矯正をして顎を広げていたにもかかわらず,2期治療では抜歯になりしかも大学病院に紹介するというのは矯正歯科医からすると考えられない対応なのですが主治医は矯正歯科医なのでしょうか?今後の治療方針は早めに決定しなければなりませんが,現主治医の方針に大きな違和感を感じますので他の矯正歯科医の意見も聞く事をお勧めします.当院で対応できれば一番良いのですが,当院を受診できないようであれば下記のサイトに乗っている先生方に相談される事をお勧めします.こちらの先生は矯正の専門医の方々で確かな知識と技術をお持ちです.参考になれば幸いです. 日本歯科矯正専門医学会 http://www.jso.or.jp/
以上,取り急ぎ回答とさせていただきますがご不明な点があればお気軽にお尋ね下さい
|