解説ーー院長:晝間康明
初診時の診断:
「左側第2大臼歯の交叉咬合を伴うAngle class I叢生症例」
一般的に叢生の場合は小臼歯を抜歯して治療をおこないますが、初診時側貌において口唇の突出感は顕著に認めなかったこと、歯列が狭窄して(歯列の幅が狭くなって)叢生になっており、さらに歯槽骨(歯を並べる骨)の幅が比較的広かったため非抜歯(下顎の親知らずは抜歯)で治療をおこないました。初診時27歳。
しかしながら、保定期間中に叢生が戻ることがあればやはり抜歯による治療が必要となる可能性があることを診断時にお話して治療開始。
歯を動かす動的な治療期間は約24ヵ月と予想して治療を開始し実際には25ヵ月かかりました。現在は保定中で、噛み合せの状態は安定しており抜歯による再治療の必要はないと考えています。
非抜歯症例なので第2大臼歯遠心(奥側)が僅かに歯肉に埋もれるような状態になっているため保定期間中にPMTCやスケーリングを注意深くおこない歯周病やむし歯が進行しないように注意しています。
治療前– Before –
治療後– After –
永久歯の矯正治療(Ⅱ期)の目安
- 治療内容
- オーダーメイドのワイヤー矯正装置で治療を実施します。(スタンダードエッジワイズ法)
- 治療に用る主な装置
- マルチブラケット装置、症状により歯科矯正用アンカースクリューを用いる場合もあります。
- 費用(自費診療)
- 約1,280,400円~1,472,900円(税込)
※検査料、月1回の管理料等を含む総額 - 通院回数/治療期間
- 毎月1回/24か月~30か月+保定
- 副作用・リスク
- 矯正装置を初めて装着後は、歯を動かす力によって痛みや違和感が出たり、噛み合わせが不安定になることで顎の痛みを感じる場合があります。
歯を動かす際に歯の根が吸収して短くなる、歯ぐきが下がる場合があります。
治療中は歯みがきが難しい部分があるため、お口の中の清掃性が悪くなってむし歯・歯周病のリスクが高くなる場合があります。
歯を動かし終わった後に保定装置(リテーナー)の使用が不十分であった場合、矯正歯科治療前と同じ状態に戻ってしまうことがあります。 ・
長期に安定した歯並び・噛み合わせを創り出すために、やむを得ず健康な歯を抜く場合があります。