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リスク検査やメインテナンスの重要性を改めて理解できた

歯科衛生士になったきっかけはなんですか。

以前、一般歯科で助手として働いていたのですが、パートタイマーとして4年ほど勤めたころに、フルタイムの仕事を探すようになりました。そのときに先生に相談したら、せっかく歯科助手として知識や経験を積んだんだから、歯科衛生士を目指したらいいんじゃない? と言われたのです。そのときまで考えもしていなかったのですが(笑)、そうだ! 今までやってきたことを生かせるし、なにより歯科が好きだし、その医院の衛生士さんを尊敬していたので、衛生士になりたいと考えるようになりました。それでそこから学校に入って勉強を始めたのです。だから同級生はずいぶん年下…という環境でとても面白い経験でした。

OPひるま歯科 矯正歯科に勤めるようになった経緯を教えてください。

オーラルフィジシャンのセミナーに出席する機会があって、そこで康明先生が講演をされたんです。OPひるま歯科 矯正歯科がちょうど移転したころですが、すごい信念を持っている先生だ! と圧倒されました。しかも有言実行! 行動力がすごいなと思って。やりたいと思ったことを実際にやれる先生ってなかなかいませんよね。それで、康明先生の医院で働きたいと思って、雇ってもらえませんか? と連絡しました(笑)。

当院は、他の医院と比べたら、やるべきことがすごくたくさんあって、スタッフ皆で考えたり工夫したり、どんどん変化していくのですが、志が同じ人たちが集まっているので、毎日すごく楽しいです。

矯正治療を始めたのはいつですか。

最初の治療は2013年ぐらいからです。もともとは八重歯があって、小学生の歯科検診の時に歯列不正と言われて歯医者さんに行ったりしていました。当時は「八重歯=かわいい」と両親は思っていたみたいで、特に矯正治療をするという話にはならなかったのです。私自身は八重歯をからかわれたりしたことがあってずっとコンプレックスを感じていました。大人になって、歯科で勤務するようになったとき、自分の意志で決められる今が、矯正治療をするチャンスかなと考えるようになりました。そこの一般歯科の先生が抜歯しなくても治療できると言ってくださったので、決心しました。抜歯にはすごく抵抗があったのです。

再治療を考えたのはなぜですか。

治療が終わったときは、犬歯が下にさがって、すべての歯がきれいに並んでいて、すごく嬉しかったのを覚えています。ところが、治療が終わって、少しずつですが後戻りしてきたのです。具体的には上の歯列と下の歯列の間に隙間ができてきました。治療完了のときにも、今考えれば上下の歯列の重なりが浅かったのかなとは思いますが、ちゃんとかぶさってはいました。それが少しずつ、たぶん上の歯列が外側に開いていったような感じになってきたのです。ほんの少しなんですけどね。あとは少し口が閉じにくいなと思っていました。ちょっと頑張って閉じるという感じ…。それと噛みにくいというか、食べ物を噛めばそんなに違和感はないのですが、噛み合わせたときに、どこが正しい噛む位置なのかがわからないなと思うことがありました。ただどれも少し気になる程度です。でも、矯正治療が終わってまだ2年ほどしか経っていないのにこんな状態というのが、この先どうなってしまうのかなと不安を感じるようになってきました。

再治療を決めたのは。

そのころから当院で働くようになってメインテナンスを受けていたのですが、あるとき担当の衛生士さんに相談してみました。そうしたら、「悩んでいるのならやってみたら?」と言われて。確かにこのまま悩んでいても、良くなることはないんですよね。背中を押してもらって、とにかく検査だけでも受けてみようと思いました。抜歯はやっぱり抵抗があって、康明先生に相談したのですが、分析の結果、抜いた方がいいと言われました。そこでまた悩みました。でも最終的にやることに決めたのは、治療をしたら生涯安定するんだと思えたことですね。まだまだ人生は長いので、この先ずっと鏡を見ては、あ、また隙間が…と悩むのはいやだったし(笑)、1度目の治療より年齢があがったぶん、リスクはあるとは思いましたが、思い切って始めることにしました。

どのような治療でしたか。

4番の歯を4本抜いて治療しました。抜くときは本当にショックで、今も抜いた歯は大切に家に保管してあります。抜いた後はちょっと沈んだ気持ちになりました。でも矯正治療をする方は皆さん、こんな気持ちになるのかなと考えたりしました。頭ではわかっていたつもりでしたが、実際に自分が抜歯して、やっぱり歯を抜くっていうのは重大なことだなと本当に理解できたと思います。

当院では、むし歯や歯周病の状態を最初にリスク検査をして健康な状態にしてから矯正治療を開始します。そうすると矯正治療が始まったらそこだけに集中できるので、すごく楽だなと感じました。いつも衛生士としてやっているリスク検査やメインテナンスの重要性が改めてわかりました。自分自身、安心して矯正治療を進められたと思います。

治療中大変だったことはありましたか。

よく言われることですが、食事が大変でした。とにかく装置に食べ物が詰まるんです。食事しながら話すことができないし笑えないし。食事が終わったらすぐに詰まったものをきれいにしなきゃいけないしで本当に大変でした。あとは歯みがきですね。すごく時間がかかります。このふたつは患者さん全員、共通の悩みです(笑)。

歯みがきは本当に大変で、私は道具もいろいろ使って、20分ぐらいかけてやっていました。まず歯ブラシでおおまかに詰まっているものを落として、ワンタフトブラシで細かい汚れを取ります。さらに歯間ブラシを使いますが、歯の間に使うものと、装置のまわりを掃除するものなど、大小使い分けていました。そして最後にフロスを全部の歯の間に通して終わりです。これはフルコースなんですが、いつもいつもこんなにできるわけはないですよね。なので最低限のシンプルコースも考えておいて、朝や昼は簡単にすますなどメリハリをつけてやっていました。

矯正治療経験は衛生士の仕事に役立ちそうですか。

抜歯のときの心の負担や、食事や歯みがきが大変、というのが共感できてよかったですね。食べ物は、韓国料理は特に大変ですよね、と患者さんと話したりして、お互いに誰かにわかってもらえると安心できたりしました。私は痛みに強い方だった思うのですが、夜寝るときに痛くて痛くて泣きそうになったこともありました。痛みの表現もドカンと痛いとか、ジンジン痛いとか、患者さんの言うことが本当によくわかります。

あと、「治療は今どのあたり?」とか、「私の方が先に装置外れちゃったけど、まだ頑張ってね」とか患者さんに声をかけてもらうことがあって、患者さんとともに頑張れたというところがすこく有難かったです。励ましつつ、励まされつつ治療することができました。

ほかには、矯正治療をするか悩んでいる方に、実際にこういう装置がつきますよと自分の口で説明できたのが便利でした。今は装置は取れて、リテーナーがついています。これはこれで悩みがいろいろあって、食事の時にはずさないといけないし、喋りにくいし、見た目もワイヤーが見えているので気になったりします。これも自分で体験してはじめてわかったことでもあります。こういうことも仕事に役立っているんじゃないかなと思います。これからも矯正治療をされた皆さんと同様に、メインテナンスで生涯、歯を健康に維持していこうと思っています。

当院ホームページは厚労省指針による医療機関ホームページガイドラインを遵守し作成しておりますので、インタビューと共に治療の内容については掲載できません。治療の内容については院内で配布している『ひるまだより』94号をご覧ください。