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ドキュメンタリー矯正治療 / ステップ16

アンカーとアンカレッジコントロールについて

矯正治療は、1本1本の歯を移動することにより綺麗な歯並びをつくり出す歯科治療です。歯の移動を診断時の計画通り動かすことが矯正治療の仕上がりに大きな影響を与えます。
歯をイメージ通りに動かすために重要な考え方がアンカーとアンカレッジコントロールという考え方です。
特にキャナインリトラクションやアンテリアリトラクションのステージではアンカレッジコントロールの考え方が非常に重要になります。

今回は、歯をイメージ通りに動かすために必要な考え方、アンカーとアンカレッジコントロールについてお話していきます。

アンカレッジコントロールを例えるなら

アンカレッジコントロールとは歯を移動する際に用いるアンカーの強さをコントロールし、目的の歯を目的の位置に移動する方法です。

アンカー(anchor)とは、船を止めておくための錨、支えやよりどころ、綱引きの最後尾の人、リレーの最終走者を意味します。
しかし、矯正治療の専門用語として用いるアンカーでは、歯を移動する際の固定もしくは固定源を意味します。

矯正歯科治療における歯の移動は、様々なパターンがあります。中でも最も基本的な歯の移動は、歯と歯にブラケットとワイヤーを装着しパワーチェーンやオープンコイルなどにより引っ張り合うことで移動させます。すなわち歯と歯を綱引きや押し合いをさせて歯を動かしているのですが、固定源をどこにするかで歯の動く位置や距離が変わります。

分かりにくいと思いますので2艘のヨットで綱引きをした場合を例に御説明します。

2艘のAとBという同じ重さの船が海に浮かびロープで引っ張り合いをしているとします。この2艘が両方とも錨を下ろすことなく同じ力で引っ張り合った場合、お互いが同じ距離だけ近づいていきます。この様な状態を「AとBのアンカーが同程度」と考えます。

AとBのアンカーが同じ状態(海に浮いているだけ)で、ヨットの重さも同じであれば引っ張り合うことで同じ距離を移動して近づいていきます。

しかし、AとBが同じように錨を下ろしていたとしてもAの錨の重さが重ければBはAに引き寄せられます。また、錨の重さだけでなくAの方がBに比べて船自体の重さが重ければBはAに引き寄せられます。

この様な状態を「AがBに対してアンカーが強い(強固な)状態」と考えます。

アンカーの関係

AのアンカーがBのアンカーより大きかったり、船が重かったりすれば、BはAに近づいてきます。

綱引きをすることでAとBが近づくとしても、錨の重さや船の大きさを変化させることによってAとBの移動距離は変化していきます。

この様に、錨や船の重さ(アンカー)をコントロールすることによってAとBの位置関係をコントロールすることが可能となります。この様なアンカーのコントロールを行なうことがアンカレッジコントロールの基本的な考え方です。


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永久歯の矯正治療(Ⅱ期)の目安

治療内容
オーダーメイドのワイヤー矯正装置で治療を実施します。(スタンダードエッジワイズ法)
治療に用る主な装置
マルチブラケット装置、症状により歯科矯正用アンカースクリューを用いる場合もあります。
費用(自費診療)
約1,280,400円~1,472,900円(税込)
※検査料、月1回の管理料等を含む総額
通院回数/治療期間
毎月1回/24か月~30か月+保定
副作用・リスク
矯正装置を初めて装着後は、歯を動かす力によって痛みや違和感が出たり、噛み合わせが不安定になることで顎の痛みを感じる場合があります。
歯を動かす際に歯の根が吸収して短くなる、歯ぐきが下がる場合があります。
治療中は歯みがきが難しい部分があるため、お口の中の清掃性が悪くなってむし歯・歯周病のリスクが高くなる場合があります。
歯を動かし終わった後に保定装置(リテーナー)の使用が不十分であった場合、矯正歯科治療前と同じ状態に戻ってしまうことがあります。 ・
長期に安定した歯並び・噛み合わせを創り出すために、やむを得ず健康な歯を抜く場合があります。