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マウスピース型矯正治療の適応症例

ここでは、マウスピース型(アライナー型)矯正治療の適応症例の目安や、適応が難しい例、また、無理にマウスピースで治療して不正咬合が悪化し、セカンドオピニオンで来院した患者さんの再治療例、マウスピース+ワイヤー装置のハイブリット対応がお勧めのケースなどをご紹介しています。

適応例の目安/治療症例

目立たないマウスピース型矯正治療のみで完了したいという場合は、適応症例は限られてきます。当院では、インハウスアライナー体制にて抜歯を要するような矯正治療も可能になりましたが、やはりマウスピース単独の場合は、ワイヤーを曲げて治療を行うスタンダードエッジワイズ法に比べると治療の精度が落ちることが懸念されます。

では、マウスピース型(アライナー型)矯正治療は、どのような症状・ケースが適応するのでしょうか?
非抜歯・抜歯それぞれのマウスピース型矯正治療例をご紹介します。


非抜歯症例


抜歯症例

※撮影のライトでマウスピースが光って見えますが、普通に装着している分には目立ちません。

〇適応矯正治療後の後戻り(非抜歯症例)

適切な診断による矯正治療でも、軽度の後戻りが起きる場合があります。その際、「再治療までは希望しないけれど、ワイヤーを装着しないのであれば再治療したい」と希望される患者さんがいらっしゃいます。
そのような方は、マウスピース型(アライナー型)矯正治療が可能な場合が多く、適応症例と言えます。

一方、後戻りの原因が不適切な診断であったり、治療の仕上がりに問題がある場合などは、マウスピースによる矯正では原因に対応できない可能性があるので、適応外となる可能性が高くなります。

以下は、矯正治療後の後戻りによる軽度な歯のでこぼこ(叢生)の症例です。

治療開始前

前歯に少しだけでこぼこがあります。他人は気にしないような軽度の叢生も、矯正治療できれいに整った歯列を経験しているので、ご本人は気になってしまいます。

動的治療終了後

短期間できれいなアーチ状に戻りました。

症例説明

主訴
前歯のでこぼこが気になる
診断名あるいは主な症状
軽度の叢生
年齢
41歳
治療に用いた主な装置
マウスピース型矯正装置
抜歯部位
なし
治療期間
8か月
治療費概算(自費)
約220,000円

リスク副作用

  • 矯正装置を初めて装着した時は、違和感や圧迫感、疼痛などを感じる場合があります。
  • 歯根吸収や歯肉の退縮が起こる場合があります。
  • 1日の装着時間が長いため、口内清掃不足だとむし歯・歯周病のリスクが高くなります。
  • 歯の移動後に保定装置(リテーナー)の使用が不十分の際は、後戻りが生じる場合があります。
  • マウスピースの装着時間が少ないと治療期間が長引く場合があります。

〇適応軽度の叢生(抜歯症例)

軽度の歯並びのでこぼこ(叢生)は、多くの場合、マウスピース型(アライナー型)矯正治療が適応します。
治療の進め方としては、親知らずの抜歯スペースを利用したり、歯列をわずかに拡大させたりして、歯と歯の間にほんの少しだけ隙間を作り、軽度の歯の重なりや前方に出た歯を一列に並べます。

以下の症例は、上顎はそれほど歯並びのでこぼこや捻れがなく、噛み合わせも安定しており、下顎前歯1本の抜歯のみで治療可能と判断したため、マウスピース型矯正装置単独で治療を行いました。

治療開始前

下顎前歯のでこぼこ以外は整った歯並びで、噛み合わせも安定しています。

動的治療終了後

噛み合わせも良い状態を保ったまま、きれいなアーチとなりました。

症例説明

主訴
下の前歯のでこぼこが気になる
診断名あるいは主な症状
軽度の叢生
年齢
49歳
治療に用いた主な装置
マウスピース型矯正装置
抜歯部位
下顎右中切歯
治療期間
8か月
治療費概算(自費)
約220,000円

リスク副作用

  • 矯正装置を初めて装着した時は、違和感や圧迫感、疼痛などを感じる場合があります。
  • 歯根吸収や歯肉の退縮が起こる場合があります。
  • 1日の装着時間が長いため、口内清掃不足だとむし歯・歯周病のリスクが高くなります。
  • 歯の移動後に保定装置(リテーナー)の使用が不十分の際は、後戻りが生じる場合があります。
  • マウスピースの装着時間が少ないと治療期間が長引く場合があります。

適応例の目安/その他の症状

〇適応軽度の空隙歯列

「すきっ歯」と呼ばれる、歯の隙間が空いている症例は、マウスピース型(アライナー型)矯正治療に適しています。上記症例は、歯に少しずつ隙間があり、歯の向きが全体的に外側に開いています。

歯のでこぼこ(叢生)の場合は、先に歯と歯の間にほんの少しだけ隙間を作ってから歯を並べますが、元々歯の隙間が空いている軽度の空隙歯列は、マウスピース型矯正治療が得意とする歯並びです。

〇適応軽度の開咬

軽度の開咬(奥歯だけが嚙み合い、上下の前歯が嚙み合わない)症例にも、マウスピース型(アライナー型)矯正治療は有効です。上記症例は、奥歯だけが嚙み合っていて前歯は閉じないため、蕎麦などが噛み切れません。

奥歯の咬合面を覆ったマウスピースが臼歯を圧下するため、今まで奥歯だけが嚙み合っていた歯列のバランスを整える作用が働きます。

適応が難しい例

✕不適合強い骨格性の出っ歯や反対咬合など


骨格性の上顎前突症


骨格性の下顎前突

強い骨格性の不正咬合には、マウスピース型(アライナー型)矯正装置での治療は適合しません。

当院が考える「治療のゴール」に到達させるためには、オーダーメイドの矯正治療法「スタンダードエッジワイズテクニック」で、患者さん一人一人の顎や歯の形態に合わせた細かい調整を行うことが重要です。

✕不適合顎変形症などの外科矯正の適応症例


骨格性の上顎前突


骨格性の下顎前突

顎変形症の外科矯正の適応症例は、症状的にももちろんですが、マウスピース型矯正治療では健康保険を利用できないため、適応外となります。

※当院は顎口腔機能診断施設のため、外科矯正は保険適応となります。

✕不適合神経を取った歯などがある場合や、抜歯部位が左右非対称になる場合など


上顎の強い叢生


下顎の非対称抜歯

神経が無い歯の場合、歯の根っこの周囲にある「歯根膜」と言われる部分が健康であれば問題ありませんが、概ね状態が良くない場合が多く、マウスピース型(アライナー型)矯正装置で一気に動かすよりも、オーダーメイドのスタンダードワイズテクニックで歯を1本1本並べる方が、治療後のリスクが軽減します。

また、上の写真のような抜歯部位が左右非対称のケースも、やはりスタンダードワイズテクニックで1本1本的確に動かす必要があるため、適応外となります。

他院のマウスピース型矯正治療のやり直し例

「どんな症例もマウスピースだけで治る」という歯科医院もあるようですが、治療精度の追求の度合いは歯科医師によります。実際、マウスピース型矯正治療のやり直しに当院へ来院される患者さんは、年々増えているのが現状です。

✕不適合骨格性の上下顎前突

以下の症例は、マウスピース型矯正治療の適応例では無い症状であったのに、非抜歯で無理やりマウスピースだけで治療を進めていった結果、口元は前方に突出し、前歯は噛まなくなってしまった患者さんです。
当院に来院時は、通常前歯の歯冠が全て覆われているはずのマウスピースが半分カットされた状態で装着していました。

当院初診(転医)時

奥歯のみ噛んでおり、前歯は開咬の状態でした。

当院で改めて検査・診断した結果、上下左右の小臼歯を抜歯する必要があると判明し、スタンダードエッジワイズテクニックで、上顎下顎を後方へ下げる治療を開始することになりました。

当院での再治療開始時

ワイヤーでも目立ちにくい装置で再治療を開始しました。

 

症例説明

主訴
他院のマウスピース型矯正治療により、口元が突出して前歯が噛まなくなった(治療前より悪くなった)
診断名あるいは主な症状
上下顎前突、叢生
年齢
23歳
治療に用いた主な装置
マルチブラケット装置(スタンダードエッジワイズ法)
抜歯部位
上下左右第一小臼歯下
治療期間
毎月1回/24~30か月+保定
治療費概算(自費)
120~140万円

リスク副作用

  • 矯正装置を初めて装着した時は、違和感や圧迫感、疼痛などを感じる場合があります。
  • 歯根吸収や歯肉の退縮が起こる場合があります。
  • 治療中は歯みがきが難しい部分があるため、お口の中の清掃性が悪くなって、むし歯・歯周病のリスクが高くなります。
  • 歯の移動後に保定装置(リテーナー)の使用が不十分の際は、後戻りが生じる場合があります。
  • 長期に安定した歯並び・噛み合わせを創り出すために、やむを得ず健康な歯を抜く場合があります。

マウスピース型矯正装置のみで治療を完了したい場合は、軽度の症例に限られるとお考えいただいたほうが確実です。もちろん、検査・診断の結果、中程度以上の症例や抜歯が必要な症例でも治療可能な場合もありますので、初診相談の際にご相談ください。

当院では矯正治療が患者さんにとって「失敗」とならないよう、十分な検査と適切な診断を行い、マウスピース型(アライナー型)矯正治療が患者さんにメリットが大きい場合に、マウスピース+ワイヤーのハイブリッド対応も含め、治療法の選択肢としてご説明するようしています。

失敗しない矯正治療

お勧めのケース
マウスピース+ワイヤー装置によるハイブリット対応

〇 お勧め!結婚式を予定されている方

結婚式をお控えの方には、結婚式まではマウスピース型(アライナー型)矯正装置で、ある程度歯を並べておき、式後にワイヤーによる矯正治療をお勧めしています。
なるべく早く歯並びを治したい、矯正装置をつけた状態で結婚式を迎えたくないとお考えの方には、お勧めの治療方法です。

「セラミック矯正」「クイック矯正」と呼ばれる『補綴治療』で、見た目きれいな歯並びを作る歯科医院もあります。短期間で歯並びを整えることができますが、自身の歯の寿命が短くなるリスクがある治療です。そのため年月が経ってから後悔されるケースは後を絶ちません。そのようなトラブルを防ぐため、結婚式前でも適切な診断に基づき、マウスピース型矯正装置や通常のワイヤーを用いた装置による『矯正治療』を行いましょう。

「セラミック矯正」「クイック矯正」と呼ばれる『補綴治療』はお勧めできません

上記の症例は大幅に歯を削って神経を取り除き、金属の土台を入れてセラミックを被せた補綴治療例です。
当院では「セラミック矯正」「クイック矯正」行っておりません。

〇 お勧め!留学を検討されている方

3~12ヶ月の短期留学を予定されている方は、ワイヤーの矯正装置を装着したまま留学されると、装置が壊れるトラブルが発生したり、歯の磨き残しが増えてむし歯や歯周病が進行するリスクが高まります。

そこでブラケットなどを除去し、歯の移動は一旦中止するのですが、その結果、治療期間は長くなってしまいます。

マウスピース型(アライナー型)矯正治療であれば、短期の留学期間にもマウスピースを交換しながら治療を進めていくことが可能です。マウスピースで矯正治療を開始し、帰国後にワイヤーを用いて精密な仕上げをすることで、治療期間も長期化せずに終えることが可能です。

治療の前半はマウスピース、後半はワイヤーを用いた「矯正治療のハイブリッド対応」は、院長が矯正医である当院ならではであり、「目立たない矯正治療」と「質の高い矯正治療」の両立が可能となります。
OPひるま歯科矯正歯科のマウスピース型(アライナー型)矯正治療の特徴

マウスピース型矯正治療

治療内容
カスタムメイドのマウスピースを定期的に交換し、歯に少しずつ適切な力をかけて歯並びを整えていきます。
費用の目安(自費診療)
約115万円(税込) <動的治療2年・保定2年の場合>
通院回数/治療期間
2~4か月に1回/ 24か月~30か月+保定

マウスピース型矯正治療+ワイヤーを用いた矯正治療(スタンダードエッジワイズ法)

治療内容
カスタムメイドのマウスピースを定期的に交換し、歯に少しずつ適切な力をかけて歯並びを整えていきます。1~2年後にワイヤーを用いた治療に移行し、治療のゴールに向けた細かな調整を行います。
費用の目安(自費診療)
約138万円(税込) <動的治療2年・保定2年の場合>
通院回数/治療期間
2~4か月に1回/ 24か月~30か月+保定

副作用・リスク(矯正歯科治療に伴う一般的な副作用やリスク

  • マウスピースを含め矯正装置を初めて装着した時は、違和感や圧迫感、疼痛などを感じる場合があります。
  • 歯根吸収や歯肉の退縮が起こる場合があります。
  • 固定式の矯正装置は歯磨きがしにくくなるため、むし歯・歯周病のリスクが高くなります。また、マウスピースの場合は1日の装着時間が長いため、口内清掃不足だとむし歯・歯周病のリスクが高くなります。
  • 歯の移動後に保定装置(リテーナー)の使用が不十分の際は、後戻りが生じる場合があります。
  • マウスピースの装着時間が少ないと治療期間が長引く場合があります。
  • 長期に安定した歯並び・噛み合わせを創り出すために、やむを得ず健康な歯を抜く場合があります。